ガラス膜の木

所在地: 北海道知内町  用途: 併用住宅  分類: リノベーション(事務所→ 住居)、戸建  規模: 約76平方メートル(約23坪)

CONCEPT

北海道知内町に建つ夫婦と子どものための住宅です。

もとは事務所として使われていたいくつかの部屋の間仕切り壁などを取りこわして住まいに再生しました。

料理が生きがいのご夫婦ふたりのための「キッチン・ダイニング・リビング」を主にてがけました。

ワンルームの一角、つねに部屋の全体が見渡せるところをキッチンスペースにしています。ご夫婦からの要望は「まず一番にキッチンらしく見えないモダンな家具のようなキッチン」、「いま使っている家具がすごくお気に入りだからこれからも大切につかう」、「部屋の雰囲気は白を基調としたモノトーンだけど明るくてあたたかみがある空間」などでした。そこでキッチンは白いマットな壁と天井にあわせて、ものの存在感を押さえる目的で白いつや消しのパネルをベースとし、アクセントとして存在感をもたせる目的でグロス仕上げをほどこしたウォールナットのパネルを組み合わせたキッチンをデザインしました。キッチンの天板はダイニングとリビングのテーブルにあわせて黒にし調和をはかっています。一般的にウォールナット=濃い茶色を想い浮かべるとおもいます。濃い茶色をしている部分だけではなく原木の周辺部分は白っぽい色で白太と言われている部分も今回はあえて見えるように木取りして製作しています。それはダイニングチェアや床材の白っぽい色のトーンをキッチンにも取りいれ、空間に連続性をあたえるためです。

また機能面ではキッチンのお手入れが容易に出来るように天板に人造大理石、ウォールナット材のパネルにウレタン樹脂塗料をなんどか塗り、その上に硬化系ガラスコーティングをほどこし平滑性と防汚性を高めています。

 

清潔感のあるウォールナットのキッチンが空間全体の重心をほどよくし、これからも使っていく家具とも調和してあかるくて気持ちよい、より料理が楽しめる部屋になりました。

設計を依頼されたとき、いまのご家族に合う住まいをつくろうと思いませんでした。むしろこのご家族がいたからこそ生まれてきたような住まいをつくることをこころがけました。ひとは時間とともに変わり、ご家族も当然変わるでしょう。そんな時に頼りになるのは、空間が住んでいる方々につながっているかどうかだと思い設計しました。

© Photograph: アトリエフク

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